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                第8話 サバンナが停まってしまった 
              当時の私にとって車とは 
                「ダートを走れるFRで、デフ付きの速いデート車 エアコン付き」であった。 
                残念ながらエアコンなし、排気ガス室内還流、フロント周りが黄緑色 
                といった、デート車にはおおよそならない危険な名車、サバンナを手にした私には 
                もう走ることしかなかったので、毎晩のように走りつづけた。 
                傘○山、長○山、当時はダートだった安○ダム、、、 
                燃料はレギュラーガソリン50%と、軽油50%の混合。 
                ロータリーエンジンはこんなものでも十分パワーを出して走っていました。 
                今のFDとかでいっぺん試して欲しい気もしますが。 
                サーマルリアクターというベルト駆動の排ガス浄化装置は、パワーをくわれるので 
                エアコンもろとも取り外してあって、めっぽう速かった代りに、 
                排ガスはとっても地球に厳しかった。ほとんど毒ガス。 
                走行中の爆音も凄かったが、エンジンを切った後、しばらくすると、直管と化しているマフラーの内部で、未燃焼ガソリン+軽油のスーパー燃料が大爆発! 
                昨今マフラーをポンポン言わしている若造がいるが、そんなかわいいものではない。 
                友達と夜スーパーに買い物に行き、車を降りて店に入った瞬間、 
                「どか〜ん!」と爆発し車は白い煙に包まれた。 
                私と友達は慣れたもので、まるで他人事のように買い物をしていたが、 
                スーパーから人が何人も飛び出してきてサバンナの周りに人だかりが出来ていた。 
                今なら間違いなくテロと疑われて通報ものである。 
                黄緑色で、リトラのライトをアップしたらカエルのようにお茶目なのに。 
                さても危険なその車は、排気ガスが車内にもれてくるというおまけ付き。 
                寒い12月に、窒息しないために窓を開け放ってダートを攻める私。 
                 当時ダートの安○ダムを、速度アラームを鳴らしっぱなしで走っていた。 
                いかにFRで、タイヤのスリップロスがあったとはいえ、相当速かったはす。 
                (だって今は舗装になってるのに怖くて同じ速度が出せない今の私、、、) 
                 公式戦に出る自信を日々固めていた。俺は出場すれば勝てる!と。 
                 だが実は当時の私、ささいなことでついに自動車部の先輩と 
                取っ組み合いのけんかをして、その年の春にクラブをクビになっていた。 
                つまり私には、公式戦への道はなかったのだが、その年末、次期部長として 
                ようやくクラブの実権を握りつつあった、ランサーターボとサバンナを交換したK君が、 
                「お前、公式戦にこいよ。今度山室山で事前練習会があるからそこからこい。」と 
                さそってくれたのだった。 
                 その前日は、自動車部をクビになってから拾われた、「映画研究会」なるサークルの 
                OB会の飲み会があり、津の大門で飲むことになっていた。 
                 翌日の練習会が楽しみで、お金もなかった私は、一次会だけで帰るつもりでいやいや 
                飲みに出た。本当は安○ダムに練習に行きたかったのに、、、 
                 そして一次会が終わり帰ろうとして、サバンナのセルを回したところ、なんと 
                セルが回らない、、、故障!どうして!! 
                 二次会の店に戻り、サークルの諸先輩に必死で頼んでみた。「なおせませんか?」 
                 そこはそれ、OB会の真っ只中、皆いい調子でもう誰も相手にしてもらえなかった。 
                 私はショックで呆然としながら、大門のバー、「シルバースプーン」で 
                誰のものか判らない、古いボトルキープのバーボンを一気飲みした。 
                 明日のことは、忘れた。 
                また、公式戦への道は遠のいていった。 
                 サバンナは、自動車部の同期、S君に、大門まで取に行くことと、現状渡しを条件に 
                翌日電話一本で、無料で譲り渡した。 
                 もう、走りから降りよう、、、次はジープにでも乗ることにしよう、、、 
                高校の頃少しだけいた山岳部のことを思い出しつつ、ダートではなく、 
                林道でデートすることを夢想しはじめていた。 
              あの頃 漫画シリーズ 1 軽井沢シンドローム 作者 たがみよしひさ 
                元暴走族のリーダーで、フリーのカメラマン耕平が、軽井沢を舞台に繰り広げる、 
                ちょっとがらの悪い、でもお洒落な?源氏物語。当時の族の好きな車がたくさん出てくるし、主人公はよくもてて、エッチ描写も沢山。 
                酒、車、暴走、女、けんか、夢、と揃った、男の欲望をぶちまけたような漫画。 
                 耕平の愛車がジープ。レイバンのサングラスと軍服、ジープは 
                当時あこがれの3点セットだった。 
               
               
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